金沢錦丘高校


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土壌動物を調査して土の自然度を考えよう!

 環境に対する人々の関心は、最近非常に高まっています。そんな中、みなさんは「自然豊かな環境」とは、どのような環境を思い浮かべますか?
 多くの人は、木々の緑をあげるでしょう。
 さてその豊かな自然環境の象徴である植物の緑には、どんな役割があるのでしょうか?植物は光合成をして有機物を生産し、消費者である動物たち全てのエネルギーの源になります。そして多くの生物が豊かに暮らすためは豊かな植物の存在が不可欠になるのです。ただし、そこにすむ動物たちの方は好き嫌いがあるらしく、どんな植物でも食べられるわけではありません。そのため動物の種類は、そこに生育する植物の種類に比例することになります。そして、豊かな自然環境を考えるとき、そこに住む生物が多様な種類であることがとても重要になってくるのです。
 今回は自然の豊かさを土壌中の動物の種類によって考えてみる実験を行います。色々な環境の土を採取し、その中に住む土壌動物の種類を調べることで、その環境の自然度を計数化し、土壌動物の種類から自然環境について考えてみましょう。

自然度を計数化する時の考え方は次のようにしました

1)自然度の高い環境の条件とは・・
   →森林や草地など、植物の現存量が大きいこと。
   →落葉・落枝量、枯死量が多いこと。
   →落葉・落枝、枯死体を餌とする土壌動物(破砕者)が多いこと。
   →土の中の食物網が複雑化(種類数、個体数多い)していること。
   →大型土壌動物・巨大土壌動物が存在できること。
   →次の2)で点数化する自然度は高い数値となること。

2)土壌動物を次の3群に分け、点数化しました。
   A群:環境破壊に敏感な動物 5点 
       ザトウムシ、オオムカデ、アリズカムシ、ヒメフナムシ、
       コムカデ、ジムカデ、ヨコエビ、ヤスデ、イシノミ
   B群:環境破壊にやや敏感な動物 3点 
       カニムシ、ガの幼虫、ミミズ、ワラジムシ、ナガコムシ、ゴミムシ、アザミウマ、
       ゾウムシ、イシムカデ、甲虫の幼虫・成虫、シロアリ、カメムシ、ハサミムシ
   C群:環境破壊に鈍感な動物 1点 
       トビムシ、ヒメミミズ、ダンゴムシ、ハネカクシ、
       ハエ・アブの幼虫、ダニ、クモ、アリ
  ※参考文献
   青木淳一(1985)土壌動物、指標生物(思索社)
   青木淳一(2005)だれにでもできる やさしい土壌動物のしらべかた(合同出版)

◇準備◇
 調査地は学校近く(金沢市窪周辺)の3地点の植生の異なる森林(落葉樹林、針葉樹林、竹林)としました。森林の表土を深さ10cmぐらいまで掘って採取した落葉や腐葉土を調べました。


調査地A 落葉樹林

調査地B 針葉樹林

調査地C 竹林

◇方法◇ハンドソーティング法と簡易ツルグレン装置を用いて以下のように行いました。
 (1)白いバットを用意し、その上に容器の中の落葉や土を少しずつ移す
 (2)その中にいる動物を、ピンセットや割り箸で捕らえ、シャーレに移す。
 (3)ルーペや双眼実体顕微鏡で土壌動物の種類を確認し、記録する。
 (4)容器の中の落葉、土がなくなるまで行う。
 (5)バットの中に溜まった土や落葉をツルグレン装置にかける(30分)
 (6)ツルグレン装置で回収した土壌動物も、その種類を確認する。

◇自然度の算出方法◇
 (1)出現した土壌動物の種類が分かったら、判定表の動物を○で囲む。
 (2)調べた場所別に出現種類にそれぞれ5、3、1点を掛けた値を算出する。その合計がその地点の自然度を現す値となる。(全部の動物が出現すると100点となる)


ツルグレン装置 土壌動物は光が当たると、光を避けるように土壌中にもぐる性質(負の光走性)を利用して採取する装置です。ランプの下の土壌サンプルが入っている容器の底は網になっており、光を上から照射すると一番下の容器に土壌動物が落下するしくみです。


土壌サンプル中の土壌動物を目視により探し、シャーレに取り出します。


小さいものは顕微鏡下で種類の確認を行います。


デジタルカメラで画像を保存します。


正確な同定は困難なため、判定表を用いて絵合わせでだいたいの種名を決定していきます。


確認した土壌動物を記録し自然度を算出します。


◇結果◇
調査値A:落葉樹の土壌に生息する土壌動物たち

調査地Aの表土


ヤスデ


クモ


カマドウウマ


アリ


ヒメミミズ


カニムシ

調査値B:針葉樹の土壌に生息する土壌動物たち

調査地Bの表土      


クモ


カニムシ


ダンゴムシ


ワラジムシ


ゾウムシ


ジムカデ

調査値C:竹林の土壌に生息する土壌動物たち

調査地Cの表土


ワラジムシ


ヤスデ


ヒメミミズ


カニムシ


クモ


ダニ



◇調査結果◇

  確認された
土壌動物
調査地A
落葉樹林
調査地B
針葉樹林
調査地C
竹林
Aグループ
(5点)
陸貝     1
ヤスデ 3   1
ジムカデ   1  
アリヅカムシ 1    
コムカデ 1    
ヒメフナムシ 1    
Bグループ
(3点)
カニムシ 3 1  
オオムカデ 1    
イシムカデ 2   1
ワラジムシ 6 12 2
カマドウウマ 1    
Cグループ
(1点)
トビムシ 1    
ダニ 1   1
クモ 9 7 2
ハエ・アブの幼虫   2  
ヒメミミズ 3 2 10
アリ   1  
その他     1
自然度
(得点)
  39 15 20



◇考察◇
 落葉樹林は13種と一番種類数が多く、自然度も39点となった。次が竹林の8種で20点、最後が針葉樹林の7種で15点となった。植物種の多い落葉樹林が予想通り自然度が高く、動物種も多様であることが示された。杉林の針葉樹では、ワラジムシやクモが多く、竹林ではヒメミミズが多く見られた。どの調査地点とも種類や数に違いが見られ、その植生の違いは、そこにすむ土壌動物の違いに反映されていることがわかった。


◇感想◇
 土の中にあんなにも多くの土壌動物がいることにとても驚いた。特に足の本数が多いものや、カニムシなど不思議な格好の動物が興味深かった。落葉樹林の土壌動物は確かに種類数も個体数も多く、植物の種類、土壌動物の種類、自然度が関連していることがわかった。


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